漢方薬の処方・相談
最近では多くの医師が漢方薬を処方していますが、本格的な漢方診療を希望したときに、どこに行ったらよいのか、迷われる方も多いことと思います。「漢方科」の看板でもあればよいのですが、どこにも見あたりません。
しかし昨年8月9日、(社)日本東洋医学会が認定する『漢方専門医』の広告が厚生労働省から許可されました。明治以来、近代日本になって初めて、医師が漢方の専門家であることを正式に表明できるようになったのです。
現在の日本の漢方医学は、中国の伝統医学が日本に伝来して約1500年、我が国独自の工夫・発展が加えられ、伝えられてきたものです。
(社)日本東洋医学会は昭和25年に設立され、漢方医学の研究と普及に努めてきました。その成果もあって臨床的な効果が徐々に認められ、昭和51年からは医療用漢方製剤が大量に健康保険適用となりました。標準的な医療として取り入れられたのです。
西洋医学を中心とした現代医学は、日本人の寿命を大幅に延長し、不治と思われていた病気もずいぶんと治るようになりました。しかし、それでもまだ十分に満足できる治療効果が得られない疾患や病人も多数存在しています。
そこで、西洋医学だけではなく漢方も活用し、よりよい医療を目指すことが求められます。漢方医療を行う医師は、その責任を担って行かなくてはなりません。
このような事情から、(社)日本東洋医学会では平成元年に、漢方医学の一定の研修を終了し、選考基準をパスした医師は専門医として認定する制度(専門医認定制度)を発足させ、平成16年からは制度をさらに充実しました。
本学会の医師会員約7千人が漢方医学を実践しているのですが、その中で新制度において認定された漢方専門医は約1100人です。
漢方医学の特徴は、病気だけではなく、病気になった人間の全体的なバランスの乱れ、漢方医学的な病態を判断し、その病態にあった漢方薬でバランスの正常化を目指すことです。その結果、人の持つ自然治癒能力・免疫機能が十分に発揮され、病気の治癒を促進します。もちろん直接的に病気そのものに有効な成分なども研究され、証明されつつありますが、大きな特長は生体の自然治癒力の推進です。そのため、現代医学的には十分な満足の得られない病態にも応用が出来ます。
漢方医学の治療では、病人全体の病状診断が大切になります。また治療薬は天然物をいくつも組み合わせて作られ、名前が付けられています。診断も治療薬も、分析的な西洋医学と異なり、全体的・総合的であるといえましょう。
漢方医学は、漢方医学的な考え方と、漢方薬のお薬としての有効性との二つの面で、今後の医療に役立っていくと確信しています。
当院では常時漢方相談を行っています。お気軽にお出かけ下さい。